本音で言っちゃえば

そういえば幼いころ、よく父親が遊んでくれていたことを思い出す。　でもその、よく遊んだというのは多分とても短い期間だけだったような、そんな記憶がおぼろげにある。それまではいつも母親といっしょにいたんだろう。そのよく遊んだ以外の父親の記憶はないのだから。
あれからその父親とは会っていない。もう何年経つのだろう。顔ももうほとんど覚えていない。いつしか父親が会いたいというような話を母親から聞いたことはあったが、そのときは友達の遊ぶほうを優先させてしまった。別にいまさら父親とあったところで何を話せばいいのかわからなかったし、もう父親の事は好きでも嫌いでもなく、必要のない存在だったから。
いま思い出せばあの時、父親に会っておけばよかったのであろう。いまだにそれが正しいかどうかは自分にとっては不確かなことだ。でももう二度と会えないのだから今更後悔してもはじまらない。
果たして父親はどんな人生だったんだろう。何を考え、どういう思い出が残っていたのだろう。
幼いころのよく遊んでくれた父親の笑顔を思い出そうとすると、悲しい気分になってしまう。
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